イ・ジョンソクの魅力爆発!『君の声が聞こえる』鑑賞記②/忘れがたい2人の脇役名優!

※アイキャッチ画像は、NHKエンタープライズ「コンパクトセレクション 君の声が聞こえる DVD BOX1」のパッケージ画像です。Amazonの販売サイトはこちらです。

※以下、ドラマのネタバレとなる情報を記載しています。ご注意ください。

血の繋がらない姉弟のように、運命の糸で結ばれたイ・ジョンソクとイ・ボヨンの二人が、残酷な殺人鬼と壮絶な闘いを繰り広げる恋愛サスペンス劇『君の声が聞こえる』。

私はU-NEXTで配信されている同ドラマを、登録から一か月は無料でコンテンツが楽しめる「31日間無料トライアル」を利用して視聴しました。

全18話を完走した興奮冷めやらぬまま書いた記事は、前回アップした通りです。

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いいドラマっていうのは、主役はもちろんですが、脇役が素晴らしいです。

単なる賑やかし的な存在ではなく、回を追えば追うほどに、主要な脇役たちの人となりも存在感を増し、もっともっとこの人たちを見ていたいという気持ちになってきます。

もっともっと見ていたい――視聴者にそう思わせることができたら、そのドラマは大成功といっていいのではないでしょうか。

主演イ・ジョンソク、脚本パク・ヘリョン作品として最初に見た『あなたが眠っている間に』もそうでしたが、この『君の声が聞こえる』にも魅力的な脇役陣が多数登場しました。

そんな素敵なキャラたちの中でも、私は特に二人の名優に心を奪われました。

●ユン・ジュサン

ヒロイン、イ・ボヨン(役名:チャン・ヘソン)の上司というか大先輩というか、国選弁護士団のリーダーであるシン弁護士を演じます。

1949年6月25日生まれだそうなので、本年(2019年)70歳になる大ベテラン俳優さんです。

この俳優さん、とにかくチャーミングでメチャメチャ声がいいんです。『スターウォーズ』のダースベイダーみたいなズシリと低いいい声で、そのくせちょっとした表情にはとってもお茶目なものがあるため人間的な魅力が滲みだし、回を重ねれば重ねるほど、私はこの人が出てくるとホッと安心したり、その声に聞き惚れたりしていました。

シン弁護士には、かつて自分が弁護した男性のえん罪疑惑を晴らせなかったという後悔と罪悪感がずっとあり、今もその囚人とは、彼が収監されている刑務所を足繁く訪れては仲良く交流を続ける間柄。ドラマの終盤では、この囚人が一気に存在感を増し、実はある登場人物の父親であることが分かったりするのですが(私は思わず「出た、出生の秘密!」と叫んでしまいました。笑)、とにかくその囚人を思い、彼のために奔走する姿には、胸にグッと来るものがありました。

「こんな弁護士と知り合えた被告は幸せだろうなぁ」とつい思ってしまうような、そんな素晴らしい老弁護士像を、コミカルなときは実はコミカルに、シリアスな場面ではグッとシリアスに演じきり、とても強い印象を残しました。

●チョン・ウンイン

そして、チョン・ウンインです。
私的には、間違いなくこのドラマのMVP。血も凍る冷血な殺人鬼ミン・ジュングクを、すごい演技で演じきりました。

このドラマ、このミンがイ・ジョンソク(役名パク・スハ)の父親を凄まじい怒りとともに殺すところから始まるのですが、よく考えると、父親はいったい何をしたのか、ミンはいったい、どうしてそこまでの怒りとともにスハの父親を殺害しなければならなかったのかということは、ドラマの終盤になるまで私たち視聴者には語られません。

幼かったパク・スハは父親の死とともに孤児となってしまうのですが、「では母親はどうしたんだろう?」という疑問に対する答えも、ずっと提示されません。

そして物語がクライマックスを迎える頃、ようやくいろいろと不明だった疑問が、一つに収束し始め、残酷な殺人鬼ミン・ジュングク(何しろ、よくしてもらったイ・ボヨンの母親までもその手にかけるような人でなしです。さらには、パク・スハに罪を着せるためには喜んで、かどうかまでは分かりませんが、自分の左手さえ切り落とすような犯罪の鬼です)がどうして誕生したかが哀切に語られます。

そんなミン・ジュングクの同情せざるを得ない過去の姿に、私たち視聴者も「うーむ……」と腕組みし、複雑な心境にさせられるという仕掛けを、脚本家パク・ヘリョンは用意していたわけですね。

とにかくこのミン・ジュングクを演じたチョン・ウンインさん、圧倒的な存在感です。

なんせ、すごい悪人面。すごむとメチャメチャ怖いです。

俳優としてはすごい強み。チョン・ウンインさん、ご自分の強みを味方につけ、迫真の演技を披露してくれます。

しかも、ちょっとした表情とか実にうまいんですよね~。

微妙な表情一つで心の揺れを見事に表現するとか。たとえば、イ・ボヨンの母親によくしてもらい、そんな「人の優しさ」に触れて戸惑ったりしたときの表情であるとか、「俺は間違ったことをしていたんだろうか……」と自戒でもするような不安そうな顔つきとか、そうかと思えば「この野郎……」と狙った獲物に牙を剥いていくときの空恐ろしい表情とか。とにかく印象的なたくさんの「顔」を私たちに残してくれます。

聞けばこのドラマの放映当時、ウンインさんは近所の人たちからも本気で怖がられたそうですが、それもむべなるかなという圧倒的な演技力とキャラクター。

韓国でも相当な話題になったのですね。続く『ピノキオ』(主演イ・ジョンソク、脚本パク・ヘリョンの第二弾ドラマ! 実は私は、すでにこの『ピノキオ』の視聴も始めています)では、ヒロイン、パク・シネの妄想シーンで、いかにもミン・ジュングクそのもののキャラに扮したチョン・ウンインがパク・シネを襲う、笑うしかないパロディシーンがありました。

主役のイ・ジョンソクは最高に素敵でしたし、ヒロインのイ・ボヨンも本当に綺麗で、複雑な思考回路を持つ難しいヒロインを魅力的に演じていました。
でもそんな主演スターたちを食ってしまうほど存在感のある助演陣が、『君の声が聞こえる』という小宇宙をいっそう奥深いものに感じさせてくれることもまた、まぎれもない事実だと私は思います。
さあ、そんなわけで私は引き続き『ピノキオ』を見続けます!

※本ページの情報は2019年6月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。

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この記事を書いた人

占術家、「幽木算命塾」塾長、怪異蒐集家。
算命学、紫微斗数、九星気学などの占術を使い、運命(宿命、運勢)という名の神秘の森に分け入る日々。
通信制私塾「幽木算命塾」で後進の指導にあたる。
占いで出逢ったお客さまなどを中心にさまざまな怪異を蒐集し、竹書房怪談文庫などで公開も。
奇妙な毎日は、ご神仏とともにある。

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