美仏と御朱印(7)平戸の大仏-薬師如来、観音菩薩-(埼玉県熊谷市・源宗寺)

ようやく梅雨明けとなった関東地方。

いつになく遅い梅雨明けでしたが、実際にはもう数日前から明けていたような感覚がありました。

埼玉県熊谷市の源宗寺(げんそうじ)を訪れたのは、梅雨明け宣言が出されるまであと数日、となっていたある暑い日のこと。

埼玉県民が愛読する埼玉新聞で、このお寺の本堂に鎮座する江戸時代の古仏、薬師如来様と観音菩薩様が一日限定で御開帳なさることが分かったからです。

ギラギラの陽光が容赦なく降り注ぐ中、ようやく源宗寺に到着しました。

お寺に駐車場はないため、ここから徒歩で10分ほどのところにある駐車場に車を止め、テクテクと歩いてやってきました。

汗かきの私は、もうこの段階で汗ダクダクです。

境内は、ちょっとした縁日的賑わい。

地元の方々の手作り感が濃厚に漂ういくつかの露店まで出され、ハレの日ならではの喧噪を演出していました。

今回の御開帳は、源宗寺本堂の老朽化に伴う大規模な保存修理工事着手に先立つ、特別なイベント。「熊谷を代表する文化遺産を、ぜひ多くの人に知ってもらいたい」という檀家組織さんらの趣旨の元、拝観料を取ることもなく公開された、実にありがたい御開帳となりました。

記帳を住ませた私は、境内の左右にさまざまなテントの並ぶ中(冷たいものやオルゴナイトなどが販売されていました)、脇目を振ることもなく一直線に本堂へとズンズン。

いつもはぴたりと閉じられているという本堂の扉が惜しげもなく開かれ……

おお! いらっしゃいました!

以前から一度拝ませていただきたいと思っていた憧れの大仏様二躰が、老朽化した堂内にキツキツな感じで鎮座されていらっしゃいます。

思いのほか、おデカくていらっしゃいます(って、ひどい敬語ですね。笑)。

靴を脱いで本堂に入り、お参りさせていただくことも可能だったので、私も嬉々として内陣にまで失礼し、愛しの「平戸の大仏」(源宗寺が熊谷市平戸という場所にあるため、こう呼ばれています)様たちにお線香を上げ、ご挨拶をさせていただきました。(※写真撮影も可能、ということでしたので、ありがたく写真も撮らせていただきました

こちらがその大仏様二躰。

右が、定印(法界定印)を結んでいらっしゃいますが薬師如来様、左が、水瓶でも持っていらしたらしき左手と、観音菩薩では珍しい与願印を結んだ右手が特徴的な観音菩薩様。

私、こういうポーズの観音様は初めて見た気がします(違うかな???)。何だかとても新鮮でした。

それはともかく、とにかくこの大仏様方、しつこいようですがとても大きいのです。

台座を含めると、約4メートルの規模だとか。お堂自体も、さして大きいわけではないところへ持ってきてお二方がとても大きいため、感じる威圧感、ギチギチ感はかなりなものがありました。

仏様たちの迫力たっぷりの大きさを、写真ではリアルにお伝えできないのが、ちょっと残念です。

いったい何枚写真を撮らせていただいたことか……。

入れ替わり立ち替わり訪れる参拝客のみなさんに混じって、私もさまざまな角度から撮影させていただき、長いことお堂の中で、ご尊顔を拝見し続けました。

地元の方々に愛され、たいせつにされていることがよく分かる素敵な仏様たち。

博物館でお目にかかる名仏の数々もたしかに素敵ではありますが、個人的にはこういう場所で、地元の方々の笑顔とともに拝見する貴重な仏さまに、私は一番魅力を感じます。

工事は来年5月の完成をめざして執り行われるそうです。本堂の建物をほぼ再建し、仏様たちも一部補修されることになるとか。

リニューアルされた暁にはいったいどんなお寺に蘇るのかと、来年5月が今から楽しみになりながら、一人ニコニコとお寺を後にした結城でした。

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この記事を書いた人

占術家、「幽木算命塾」塾長、怪異蒐集家。
算命学、紫微斗数、九星気学などの占術を使い、運命(宿命、運勢)という名の神秘の森に分け入る日々。
通信制私塾「幽木算命塾」で後進の指導にあたる。
占いで出逢ったお客さまなどを中心にさまざまな怪異を蒐集し、竹書房怪談文庫などで公開も。
奇妙な毎日は、ご神仏とともにある。

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