信州の古刹に十一面観音様を訪ねる(長野県小県郡青木村・大法寺)

長野県側から見ると、上田から軽井沢を通過して群馬県の草津、沼田を経由、栃木は日光までつづく街道(全長約320km)を「日本ロマンチック街道」と呼びます。

 

長野県小県郡青木村にある「一乗山大法寺」は、そんな「日本ロマンチック街道」の長野県側始点にある古刹。

 

ちょっと前のことですが、どうしても拝みたい仏様がいらっしゃり、私は青木村にあるこの寺を訪ねました。

 

 

結果的に記録的な短さとなった2022年の梅雨ですが、大法寺を訪れたのは、まだ梅雨入りする前。気持ちのいい青空のもと、澄んだおいしい空気がキラキラと輝いているように感じられました。

 

ちなみに青木村は、奈良時代から仏教信仰が根づいていた土地だとか。古くは「日本霊異記」にも記載があるそうで、別所温泉周辺の数々の古刹とともに、信州の小京都、信州の鎌倉とも呼ばれている、そんな土地のようです。

 

ということで、階段を上って、いざ境内へ。

 

階段を上りきると右手に小さな社務所があり、そこで受付をすませます。(事前に拝観の申しこみをしてから約束をした日にうかがいました)

 

 

こちらが観音堂。

 

抜けるような青空、緑の木々と、堂々たる風格を感じさせるお堂のコントラストが絵になります。とても美しい。

 

私が長いことお目にかかりたいと切望していた十一面観音様は、このお堂の最奥部にいらっしゃいました。

 

 

こちらはお寺の絵はがきですが(拝観後「絵はがき、または観音様のお写真はないでしょうか」と、私をご案内くださったお寺の若いお坊様にご相談したところ「昔頒布していたものでよければ……」とわざわざ絵はがきセットを探しだしてくださり、おわけくださいました。お金は受けとっていただけませんでした。本当にありがたかったです)、この日お目にかかれた観音様がこちら。

 

内陣の裏側に普賢菩薩様といっしょにいらっしゃいましたが、私はお姿を見たとたん、思わず「おおお……」と嘆声をこぼしてしまいました。

 

像高は171センチ。

 

意外に大きいお姿でしたが、なんとも優しいお顔立ちとたたずまい。藤原時代中期ごろの作だそうですけれど、全身から香りたつ品のよさというか気品には(同じか笑)、ちょっとけおされるものがあります。

 

両目をそっと閉じ、瞑想でもしていらっしゃるようにも見えましたが、愚民の私、ノロマな私に「おまえ、ようやく来たのだね」とニコニコとおっしゃってくださっているようにも思えました。

 

歓迎してくださっている気がして、うれしかったです。

 

おそれながらお時間を頂戴してご真言と観音経を唱えさせていただき、ただただ合掌。お若いお坊様が「好きなだけお詣りなさい」とでも言うかのように、すっとその場からいなくなられたのもありがたかったです。

 

観音様ひとり占め。

 

なんという贅沢。なんという幸せ。(>_<)

 

短時間でしたが観音様とお話をさせていただき、満ち足りた気持ちでお別れをして観音堂をあとにしました。

 

 

こちらは観音堂のさらに上のほうにある国宝・三重塔。

 

あまりの美しさに、ついふり返って眺めてしまうことから「見返りの塔」と呼ばれて親しまれているそうです。たしかにこれまた美しい。

 

 

 

自然豊かな、風光明媚な土地で、私は観音様と三重塔を拝観した後も、境内のベンチで流れる雲と時間、たわむれるように吹いてくる春の風を長いこと楽しみましたが、観音堂の奧におわす十一面観音様は、ずっと私に「大丈夫。進みなさい、そのまま」とおっしゃってくださっているように感じられました。

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この記事を書いた人

占術家、「幽木算命塾」塾長、怪異蒐集家。
算命学、紫微斗数、九星気学などの占術を使い、運命(宿命、運勢)という名の神秘の森に分け入る日々。
通信制私塾「幽木算命塾」で後進の指導にあたる。
占いで出逢ったお客さまなどを中心にさまざまな怪異を蒐集し、竹書房怪談文庫などで公開も。
奇妙な毎日は、ご神仏とともにある。

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