「軽井沢千住博美術館」に行ってきました

ちょっと所用があり、軽井沢。

ずいぶん久しぶりの訪問だった。

軽井沢に行くなら、ぜひ訪れてみたいと思っていたのが、日本画家・千住博さんの「軽井沢千住博美術館」である。

駐車場に車を停めると、「あれ、どこが美術館の建物だ……?」とちょっと迷う。

思いのほか敷地は広く、美術館本館のほか、ギャラリーやミュージアムショップ、カフェなどの建物が敷地のあちこちにあった。

ということで、案内板のマップで確認し、いざ本館へ。

案内にそって進みだすと、すぐ右手に美術館の建物が見えてくる。

はっきり言って、この外観からだけでは、館内内部のすばらしさはちょっと想像できない。

まっすぐなアプローチを歩いて右に折れると、そこが入口。

期待に胸を弾ませ、手続きをすませる。

ドアが開くと、圧巻の美の空間があった。

館内の写真は撮影していないが(撮影禁止かどうか確認したわけではない。ただ、正直わたし的には、写真を撮る精神的余裕もないほど、飛びこんだ空間に夢中になった)、正直、美術館という空間が好きでいろいろな美術館をまわるけれど、美術館そのものにここまでどぎもを抜かれ、心奪われることも(私の場合は)あまりなかった。

ネットなどで検索していただければどんな空間か概要は分かるので、ご興味おありのかたはぜひお確かめいただければ(でも実際に行ってみないと、本当のところは分からないと思う。なんでもそうだけど)。

それほどユニークで、静謐で、「美」という生き物がキラキラと光り輝きながら、あちらこちらで静かに呼吸をしているような圧倒的な空間がそこにあった。

簡単に言うなら、軽井沢のその土地の地形(起伏など)や天から降りそそぐ光などを活かし、自然と調和する形で千住博さんのすばらしい日本画の数々が展示された、人工的で未来的なのにとてもしっくりとくる魔法のような世界。

入口からなだらかな坂を下る感じで、奥へ、奥へと、広々とした展示空間がつづいている。

なんだここはと、ちょっと驚いた。

もちろん、千住先生の絵はすばらしかった。そもそもそれが見たくて訪れたのだから、感激もひとしおだ。

代表作と言っていいのだろう「ウォーターフォール」関連の諸作も、やはり息を呑む美しさだったし(7分程度の動画作品にも感動)、新作の「浅間山」も迫力があり、目を奪われた。「星のふる夜に」全16枚の幻想的でファンタジックなブルーの世界には、子供に還ったような気持ちになった。

だが、いつしか私は千住先生の美しい作品世界に魅了されつつも、同時にこの「軽井沢千住博美術館」という美術館の空間そのものにもあらがいがたい魔力というか、心引かれるものを感じて、うっとりとしていた。

訪れた日が、燦々と暖かな日差しの降りそそぐ好天だったため、採光抜群の館内には外からの陽光もたっぷりと入り(絵具がデリケートなはずの日本画作品は大丈夫だろうかとふと思ったが、素人の私が心配してもはじまらない)、ガラス越しに見える木々も美しい。

千住先生の作品と木々、空からの光と白い館内空間がちょっと意外な和音をかなで、「ああ、ここで溶けてしまいたい…」と思うような(笑)居心地のよさに恍惚となる。

ちょっとこういうのも、特別な体験だ。

美術館を創りあげた建築家は、西沢立衛さん。

以前、金沢の「金沢21世紀美術館」を訪ねたときも、なんと開放的な、美しい建物だろうと感激したが、今回はじめて、同じ建築家さんの作品であることを知った(金沢21世紀美術館は妹島和世さんと共同で設計)。

うーむ、こうなると、いやでも前から気になっていた「十和田市現代美術館」(西沢立衛さんが設計)にも行きたくなるな笑。

それはともかく、あわただしい中での体験ではありましたが、とても刺激的な出合いとなった、今回の軽井沢でした。

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この記事を書いた人

占術家、「幽木算命塾」塾長、怪異蒐集家。
算命学、紫微斗数、九星気学などの占術を使い、運命(宿命、運勢)という名の神秘の森に分け入る日々。
通信制私塾「幽木算命塾」で後進の指導にあたる。
占いで出逢ったお客さまなどを中心にさまざまな怪異を蒐集し、竹書房怪談文庫などで公開も。
奇妙な毎日は、ご神仏とともにある。

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