2月分の「幽木算命塾」テキスト配信&発送を終わらせ、一日仕事場を離れる。
車で群馬県桐生市へ。
高速を使わず、下道をトロトロとのんびり走り、心と身体に溜まった疲労をデトックス。
毛穴という毛穴から、干からびた干支たちが音もなく抜けて揮発していくような感覚。

めざしたのは、シカモアカフェテラス。
のんびりと、なにもない大自然の中でしばしぼーっとコーヒーでも飲みたいなと思ったため。

大きくて開放的な窓から陽光が降りそそぎ、とっても気持ちがいい。
来てよかったと、時の経つのも忘れてまったり。
せっかくだから、近くになにかないかと思って調べると、なんと、「富弘美術館」が車で15分もかからないところにあることが分かりびっくり。
一度行きたいと思いながらなかなか訪ねることができずにいた場所を、このタイミングで訪れることになるとは。
……富弘先生に呼ばれたか。
あはは。まさか。

「富弘美術館」は24歳の年に事故で頸椎を損傷し、手足の自由を失った詩画家、星野富弘先生の作品を収蔵した美術館。
思っていたよりはるかに広い、立派な美術館で、平日だったせいだろう、貸切状態で館内の作品と対峙する。
私は23才の時に難病を発症して病院にかつぎこまれたが、急性期を脱し、リハビリ病院に転院した時、見舞いに訪れた知人が持ってきてくれたのが、富弘先生の本だった。
本を開いて先生の詩を読むなり泣けた。
そして驚いたことに、あれから40年も経っているというのに、先生の詩画と向きあうと、今も私は、あの頃と同じように泣いてしまうのだった。
人間だって どうしても必要なものは ただ一つ
私も 余分なものを捨てれば
空がとべるような気がしたよ
(「たんぽぽ」1980年 星野富弘)

あの頃、富弘先生の詩画がどれだけ心の支えになったかわからない。
そんな富弘先生も、昨年78歳でお亡くなりになった。
遺した作品は、500点以上にもなるという。