上映時間が3時間近くあると聞き、はっきり言ってかなりひるんだ。
映画『国宝』。
身体に悪い。
膀胱に悪い。
だが、ご贔屓の横浜流星君が出るとあっては、やむを得ない。
妄想の中で、テレビドラマ『あんぱん』の国防婦人会リーダー餅田民江が「悪いようにはせんき」とポンと私の肩を叩いた。
きっと一度ぐらいは戦線離脱することになるねだの、
途中で飽きたらどうしようだのと、
一緒に行った相方や義母と笑いながら席に着いた。
だが結果的に私たちは誰もご不浄に立つことなく、生あくびをかみ殺す時間に苛まれることもなく、感激しながら映画館をあとにした。
あっという間の180分近く。
三時間ずっと集中し続けたため、映画館から出るとドッと疲れに襲われた。
身体は疲労の極みにあるのに(すみません、なにしろじじいなので)、脳味噌がずっと沸騰して泡を吹いているような感覚。
それぐらい、夢中になって物語を追った。
豪華絢爛にして、どこかせつない映像美に酔いしれた。
流星君見たさで出かけたはずなのに、気がつけば主演の吉沢亮のことばかり考えていた(いや、流星君も、もちろんすばらしかったです)。
て言うか吉沢亮。
ちょっとすごすぎないか、あの演技。
(タイトル画像 ©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025 映画「国宝」製作委員会)