栃木百名山のひとつ「多気山」は、栃木県宇都宮市にある。
その山腹に鎮座するのが真言宗智山派の「多気山不動尊」。
一年に一度、2日間しかないご本尊不動明王様の御開帳に合わせて、平安仏の仏様を拝みに訪れる。
こんなことでもなければ、朝の4時半になんてまず起きない。

9月6日(土)に宵祭り「万灯会」が行われ、9月7日(日)に「八朔祭」が行われた。
120段もある階段を、汗を噴きださせて上りきると、折しも特別開帳大護摩供が始まったところ。
いそいそと靴を脱ぎ、参拝客の末席に連ならせてもらう。

護摩供が終わると、ご住職の法話。
その後ひとりひとり塗香を頂戴し、御簾の向こうにおわす仏様を、順番に並んで拝ませていただく。
おおっ。
いらっしゃった。

平安時代後期に作られたという寄せ木造りの平安仏。
像高173センチ。
お不動様にしては穏やかでかわいらしいとも思えるお顔が印象的。
ある意味「美形」でもいらした。
しかし発せられる「圧」はたしかに修験道の神。
厳かでビリッとした「氣」を放たれており、結城も背すじをただして手を合わせ、深くこうべを垂れて慈救咒三遍を唱えさせていただく。
あなありがたや。

お護摩が終わると、お囃子衆のみなさんによる賑やかなお囃子奉納。
今日が特別なハレの一日であることを、そこにいる誰もがあらためて共有する。
こういう場にいられる幸せをしみじみと感じながら、長いこと境内でお不動様の「氣」に身を浸すことのできた、この日の結城でした。
