※ドラマの内容に言及しています。未見のかたは、まずは『VIVANT』本編をご覧になってから読まれたほうがいいと、心から思い、お勧めいたします。
昨夜、ついにTBS日曜劇場『VIVANT』が最終回を迎えました。
『VIVANT』については、前に一度当ブログでも言及させてもらいました。
ひと言で言うと、すばらしいエンターテインメントでした。
放送時間が来るのが待ち遠しく、毎回リアルタイムで物語を追い続けたドラマなんて、『VIVANT』の前はどんな作品だったか、もう記憶にもないぐらいです。
テレビドラマは、録画したものをあとで楽しむものだと思っていました。
でも『VIVANT』は違った。
見ている間はおもしろく、次の回を待つ間の7日間は毎日が楽しかった。
待ち遠しかった。
Twitter(あ、今は「X」か)などでみなさんの「考察」を見るのも楽しく、感心したり驚いたり共感したり笑ったりしました。
これも楽しかった。
毎回放送後にTwitterを見ずにはいられなかったドラマなんて、私の場合は『ちむどんどん』以来です(『ちむどんどん』は別の意味ですごい破壊力でしたよね。どちらにも出ていたのが、モニター新庄は世を忍ぶ仮の姿のちむどんどんにいにい)。
贅沢にお金をかけ、すごい俳優さんたちを勢揃いさせ、みんなに見せ場を用意してとびきり面白いストーリーを語る――。
口で言うのは簡単だけど、なかなかできることではないことは歴史が証明しています。
でも『VIVANT』はこれをやってしまった。そんな気がします。
それぐらい面白かった。
前回のコラムで私は、
個人的には、最後はグッとくるような人間ドラマと、広げた大風呂敷を見事に回収するクワッドアクセルジャンプ並のフィニッシュ――いろいろな意味で「突きぬけるような圧巻のカタルシス」を期待しています。
と書きましたが、大満足の最終回でした。
最終回がこんなにもすばらしい、あるいは最後の最後まで緊迫感を維持して大団円を迎えるドラマって、つい最近、あまり見たことなかった気がします(私が忘れているだけかもですけど)。
俳優はみなさんすばらしかったですけど、個人的には大好きな阿部寛さんの色気と圧巻の存在感、かもしだすオーラは毎回とても楽しみでした。(私の場合、阿部さんが出ると知って録画をしたクチなので、阿部さんのおかげで『VIVANT』を体験できたと言ってもいいです)
とてももうすぐ還暦とは思えない愛らしさと渋さ、かっこよさの三重奏は、阿部寛さんしか出せない希有なものかと。
まさに日本の宝だと思います。
二宮和也さんもさすがの演技力とチャーミングさでノコルという難しい役柄を演じられていたように思いますが、放送第9回でしっかりと「テント」が事ここに至るまでの物語をしっかりと描いたがゆえに、ノコルをはじめとしたテント側人物たち、あるいはチンギスたち警察官たちの存在感が厚みを増し、最終回の重みにつながりました。
第9回と言えば、わたし的にはノゴーン・ベキ(さすがの役所広司さん)の若い頃を演じた林遣都さんのすごさを知ることができたことも、このドラマを見ることで手に入れられた大きな収穫でした。
林さん、あんなにいい役者さんだったとは。
映画『護られなかった者たちへ』のぶうぶうと文句ばっかり言っている不機嫌な刑事役や、テレビドラマ『スカーレット』のヒロインのコミカルな幼なじみ役とは別人のような林さんが、広大な砂漠の世界でキラキラと輝いていました。
それはともかく、あの気になるラスト。
たいへん失礼な言い方をさせてもらうなら、結果的に今作ではあまりたいした役ではなかった別班の4人の俳優さんたち(すみません)と、別班の司令塔役・キムラ緑子さんがわざわざ一人一画面で再登場の機会を与えられた場面で、濱田岳さんと小日向文世さんまで出てきたと言うことは……?(勘ぐりすぎですかね笑)
わたし的には
「えっ、(阿部寛さん演じる)公安野崎もまた別班ということ!?」
という感じで物語は終わったのですが(勘ぐりすぎですかね笑)、あの終わり方は確実にありますね、続編笑。
いずれにしても、ちょっとした虚脱感を覚えながら、お客さまの鑑定をしている敬老の日の結城です。