秘仏十一面観音44年ぶりのご開帳(滋賀県・福林寺)②

守山市の福林寺は、琵琶湖畔から数百メートルの距離。

国道477号を外れてすぐ。

古き良き日本を感じさせる立派な家々が立ち並ぶ通りに、お寺はあった。

天台宗大慈山福林寺。

今日が「特別な日」であることを示すハレの気配が、金色の霧のようにお寺から周囲に溢れ出している、そんな雰囲気(ただの曇天じゃねえか、という突っ込みはなし笑)。

受付を済ませ、いそいそと本堂にあがらせていただく。

秘仏十一面観音は内陣裏手、意外に(という言い方は失礼だが)広々とした厨子の中にいらっしゃった。

厨子内の壁面には飛天などの仏画が描かれていて、豪華絢爛である。

そんな中、観音様はすっくと立ってこちらを見ていた。             

伝教大師作と伝えられる、藤原時代の仏様。

一木造り、像高1.622メートル。

色の白さも関係してか、やっぱり貴人的なたたずまい感が強い。

なんとも優しい、ふくよかさを感じさせる顔立ち。

それなのに思っていたよりスラリとして見えたのは、下から見上げる位置関係だったからか。

上品さと威厳の双方をたたえ、静かに、じっとこちらを見つめている。

感無量。

ようやくお目にかかれました、観音様と、私は数珠を取り出し、深く頭を垂れて祈りを捧げた。

嬉しいことに、テープによる解説が長めの尺だったため、他の参拝客とともに、私はけっこうゆっくりと、観音様とお話をすることができた。

あな、ありがたや。

遠路はるばる来た甲斐があったというもの。

境内にも本堂にも、終始とても大勢の人。

ご住職も、とても忙しそうにしていらして、礼も言えずに寺を辞す(いろいろと案内をしていただいた)。

すぐ近くにある琵琶湖の湖面は、曇天にもかかわらず、なんだかとてもキラキラして見えた。

ご開帳は今月16日まで。

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この記事を書いた人

占術家、算命学ナビゲーター、「幽木算命塾」塾長、怪異蒐集家。
算命学、紫微斗数、九星気学などの占術を使い、運命(宿命、運勢)という名の神秘の森に分け入る日々。
オンラインスクール「幽木算命塾」で後進の指導にあたる。
占いで出逢ったお客さまなどを中心にさまざまな怪異を蒐集し、竹書房怪談文庫などで公開も。
奇妙な毎日は、ご神仏とともにある。

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