守山市の福林寺は、琵琶湖畔から数百メートルの距離。
国道477号を外れてすぐ。
古き良き日本を感じさせる立派な家々が立ち並ぶ通りに、お寺はあった。

天台宗大慈山福林寺。

今日が「特別な日」であることを示すハレの気配が、金色の霧のようにお寺から周囲に溢れ出している、そんな雰囲気(ただの曇天じゃねえか、という突っ込みはなし笑)。
受付を済ませ、いそいそと本堂にあがらせていただく。

秘仏十一面観音は内陣裏手、意外に(という言い方は失礼だが)広々とした厨子の中にいらっしゃった。
厨子内の壁面には飛天などの仏画が描かれていて、豪華絢爛である。
そんな中、観音様はすっくと立ってこちらを見ていた。
伝教大師作と伝えられる、藤原時代の仏様。
一木造り、像高1.622メートル。
色の白さも関係してか、やっぱり貴人的なたたずまい感が強い。
なんとも優しい、ふくよかさを感じさせる顔立ち。
それなのに思っていたよりスラリとして見えたのは、下から見上げる位置関係だったからか。
上品さと威厳の双方をたたえ、静かに、じっとこちらを見つめている。
感無量。
ようやくお目にかかれました、観音様と、私は数珠を取り出し、深く頭を垂れて祈りを捧げた。
嬉しいことに、テープによる解説が長めの尺だったため、他の参拝客とともに、私はけっこうゆっくりと、観音様とお話をすることができた。
あな、ありがたや。
遠路はるばる来た甲斐があったというもの。

境内にも本堂にも、終始とても大勢の人。
ご住職も、とても忙しそうにしていらして、礼も言えずに寺を辞す(いろいろと案内をしていただいた)。
すぐ近くにある琵琶湖の湖面は、曇天にもかかわらず、なんだかとてもキラキラして見えた。
ご開帳は今月16日まで。

